お散歩中や、トイレを片づけるとき。「今日もいい便だった」と、ほっとすることはありませんか。
毎日の便は、うちのこの体調を知る身近な手がかりです。
形や硬さに加えて、どのくらい出たか、楽に出せたか。そして、食欲や体重はどうか。
少し見るところを増やすと、ごはんと体の関係も見えてきます。今回は、犬を中心に、猫にも共通する便の見方をまとめました。

「いい便」は、形と出しやすさをセットで
目安にしたいのは、形があり、拾うときにまとまりやすく、硬すぎない便。排便するときに、長くいきんだり、痛そうにしたりせずに出せることも大切です。
便の評価に使われる「便スコア」でも、硬さや形、拾ったときの状態などを見ています。[1]
小さくカチカチに固まった便よりも、適度な水分を含み、無理なく出せる便を目指したいですね。
色は食材などでも変わるので、普段の食事のときの色を覚えておくと、変化に気づきやすくなります。
こんな違いに目を向けて

上段左から:形のある便/コロコロした便/軟らかい便
下段左から:水っぽい便/赤い血がついた便/黒い便
| 便の様子 | 見ておきたいこと |
|---|---|
| 形があり、硬すぎない | 楽に出せているか。いつもの量・回数か |
| 小さく硬い、コロコロしている | 強くいきむ、何度も試みる、出しづらそうな様子がないか |
| 軟らかく、形が崩れる | 一度だけか、続いているか。食事やおやつを変えていないか |
| 水っぽい | 回数、元気、食欲、嘔吐の有無も確認する |
| 赤い血がつく・混じる | 写真を残し、動物病院へ相談する |
| 黒く、タールのようにねっとりしている | 消化管などからの出血が疑われるため、早めに受診する |
便の図は、形や色の違いを知るためのイメージです。色の見え方だけで判断せず、その子の様子と合わせて見てください。[1・2]
食べた量と、出てくる量。その関係も見てみよう
毎日しっかり食べているごはん。その栄養がどのくらい消化・吸収されているかを調べる指標のひとつに、「消化率」があります。
研究では、食べたものと便に含まれる栄養成分を分析し、食べた分のうち、どのくらいが便に出てこなかったかを計算します。便には腸内細菌や体から出た成分も含まれるため、この方法で求めた値は「見かけの消化率」と呼ばれます。[3]
家庭で役立てたいのは、食べた量に対して、便の量がどう変わっているかを見ること。
「食べる量は変わらないのに、最近、便が多くなった」
「便が増えただけでなく、少しずつ痩せてきた」
いつも片づけている飼い主さんだからこそ、気づける変化があります。
便が増えたら、まず食べたものを振り返る
ごはんやおやつを増やせば、便量が増えることがあります。野菜や食物繊維を足したときも同じです。
2023年に発表された、ドイツのハノーファー獣医科大学などによる犬の研究では、ウェットフードにセルロースなどの繊維を加えると、便量が増えました。[4]
食物繊維は便のかさや水分の保ち方にも関わります。便が増えたときは、量だけで良し悪しを決めず、食事の変化と一緒に見ることが大切です。
ごはんと便は、水分の量も中身も違います。そのため、「食事の何割くらいの便ならよい」という共通の物差しは使えません。
比べたいのは、同じ食事をしている、うちのこの普段の状態です。
まずは3日ほど、いつもの様子をメモしてみよう
元気で食事が安定している日に、ごはんと便をセットで見てみませんか。
これは消化率を測るためのものではなく、その子の「いつも」を知るための観察メモです。無理なく続けられる範囲で十分です。
うちのこの「いつも」を知る観察メモ
□ 何を、どれくらい食べた?
実際に食べたごはんの量に、おやつやトッピングも添えて。
□ 一日の便量は、いつもと比べてどう?
一回分の大きさと回数を合わせて、「いつも程度・少なめ・多め」で記録します。
□ 形や硬さ、色に変化はある?
同じくらいの距離から写真を撮ると、あとで比べやすくなります。
猫は、砂がつく前に見られる範囲で。
□ 楽に出せている?
長くいきむ、何度もしゃがむ、痛そうにするなどの様子も一緒に。
□ 食欲や元気は、いつも通り?
便の変化と、体全体の様子を重ねて見てみましょう。
体重も定期的に、同じ条件で確認しておくと役立ちます。
なお、気になる症状があるときは、3日分の記録がそろうのを待たずに相談してください。
食べているのに痩せてきたら、相談を
食事の内容や量が変わっていないのに、多い便や軟便が続く。よく食べているのに、体重が落ちてきた。
そんな変化が重なったら、消化・吸収に関わる働きも調べてもらいたいところです。
例えば、食べ物を分解する膵臓の酵素が不足する「膵外分泌不全」では、便量の増加や体重減少が見られることがあります。[5]
ごはんを増やしたり、次々とフードを替えたりする前に、食事の記録と便の写真を持って、獣医師に相談しましょう。
食べた量、出てくる便、そして体重。
この3つを一緒に見ると、便の形だけを見ていたときよりも、その子の変化を伝えやすくなります。
いつもと違う便が出たときは
まず振り返りたいのは、最近の食事や暮らしの変化です。
新しいフードに急に切り替えた、おやつが多かった、慣れない場所で過ごした。こうしたことが、便の変化につながる場合もあります。[2]
食べたものと変化が始まった時期をメモしておくと、相談の手がかりになります。フードの切り替えは、体調を見ながら少しずつ進めましょう。
血が混じる便、黒くタール状の便、繰り返す下痢は、動物病院へ相談を。ぐったりしている、繰り返し吐く、食べられないなどの様子もあれば、すぐに連絡してください。[2]
猫の場合は、トイレで何度もいきんでいるときに、おしっこも出ているか確認を。尿がほとんど出ない、出ているか分からない場合は、尿道が詰まっている可能性があるため、すぐに受診が必要です。[6]
片づける前の、ほんのひと目を
便がいつもの状態で、楽に出せている。食欲や元気があり、適正な体重も保てている。
そんな毎日を、その子の基準として覚えておきたいですね。
今日のごはんはどのくらい食べたかな。便の量はどうだったかな。散歩の足取りは、いつも通りかな。
日々の小さな観察が、うちのこの変化に気づくきっかけになります。
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Knotの分子栄養学講座をご受講の皆さまからは、栄養に関する不安やご相談を随時受け付けています。気になることや疑問がありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
[1]Purina Institute
Diarrhea in Dogs: Nutritional Management.
便スコアと、犬の下痢の栄養管理について。
資料を読む
[2]Cornell University College of Veterinary Medicine
Diarrhea.
犬の下痢の原因、家庭での観察、受診の目安について。
資料を読む
[3]大島誠之助(2021)
「ペットフードの主な動物試験法」『ペット栄養学会誌』24(2):112–119.
消化率の測定方法と、その評価について。
論文を読む
[4]Abd El-Wahab A, et al.(2023)
Effect of Different Fiber Sources as Additives to Wet Food for Beagle Dogs on Diet Acceptance, Digestibility, and Fecal Quality. Veterinary Sciences, 10(2), 91.
犬の食事への繊維添加と、便量・消化率などを調べた研究。
論文を読む
[5]Merck Veterinary Manual
Exocrine Pancreatic Insufficiency in Dogs and Cats.
犬猫の膵外分泌不全と、便・体重などに見られる変化について。
資料を読む
[6]Cornell Feline Health Center
Feline Lower Urinary Tract Disease.
猫の排尿時の症状と、尿道閉塞について。
資料を読む

Knot STAFF BLOGについて
KOKO|Knot主宰
人と犬の食事と栄養を軸に、商品選びや専門家を迎えた講座の企画を行っています。自身も、チワプーの男の子と豆柴の女の子のママ。2頭との暮らしや日々の学びを交えながら、毎日のごはんに生かせる知識と工夫をご紹介しています。