うちのこのごはんを選ぶとき、お肉の種類やたんぱく質の量は気になりますね。
その栄養を体の中で使うために、欠かせないものがあります。今回は、そのひとつ「ビタミンB群」のお話です。
走ったり、遊んだり、眠ったり。筋肉や皮膚が日々つくり替えられるときにも、ビタミンB群は働いています。必要な量はわずかでも、体にとって欠かせない栄養素です。
何を食べるかと一緒に、食べた栄養がどう使われるかにも目を向けてみませんか。

食べた栄養を、体が使うために
ごはんを食べたあと、体の中では、栄養をエネルギーに変えたり、筋肉や皮膚の材料として使ったりする作業が続いています。
その作業を進める「酵素」を手助けしているのが、ビタミンB群です。
例えばB1は、糖質などからエネルギーを取り出すのを助けます。B6は、たんぱく質の構成成分であるアミノ酸を、体の中で利用するために働きます。
たんぱく質や脂質を摂ることと、その栄養を使えるようにすること。どちらも、毎日の食事を考えるうえで大切です。[1]
ビタミンB群には、どんな働きがあるの?
| ビタミン | 体の中でしていること |
|---|---|
| B1チアミン | 糖質などからエネルギーを取り出すのを助ける |
| B2リボフラビン | エネルギーづくりや、細胞を酸化から守る仕組みに関わる |
| B3ナイアシン | 食べた栄養をエネルギーに変える反応を支える |
| B5パントテン酸 | 脂質などを分解したり、体に必要な物質をつくったりするのを助ける |
| B6 | アミノ酸を使う働きや、神経の情報を伝える物質づくりを助ける |
| B7ビオチン | 脂肪酸や、エネルギー源になる糖をつくる反応に関わる |
| B9葉酸 | 細胞が増えたり、生まれ替わったりするときに必要なDNAづくりを助ける |
| B12コバラミン | 葉酸とともに細胞の働きを支え、一部の脂肪酸やアミノ酸を利用するのを助ける |
種類によって役割は異なりますが、それぞれの働きはつながっています。名前をすべて覚えなくても、ビタミンB群が協力して、食べた栄養を体の中で使う手助けをしていると考えると、身近に感じられるかもしれません。[1・2]
なぜ、毎日の補給が大切なの?
ビタミンB群は、水に溶ける性質を持つ栄養素です。体に蓄えておける量や期間は種類によって違い、B12のように肝臓に蓄えられるものもあります。
蓄えられる量に違いはあっても、基本は、毎日の食事から必要な量を摂り続けることです。
そのためには、食事に含まれる栄養だけでなく、実際に食べている量にも目を向けてみましょう。
食欲が落ちてごはんを残す日が続けば、摂れるビタミンも減ります。体重管理のために食事量を減らしたときも、カロリーと一緒に減る栄養素があります。
ビタミンの量は、調理や保存によっても変わります。特にB1は、加熱や加工の条件によって失われやすいことが知られています。
市販フードでは、加工中に減る量を見込んで配合する工夫が行われます。手作りごはんでも、調理したあと、実際に食べる状態で栄養が揃うように考えることが大切になります。[3]
食材の種類だけでなく、量のバランスも
お肉に野菜、卵や魚。いろいろな食材を使うと、栄養も十分に摂れていそうに感じますね。
けれども、食材の種類が多いだけでは、必要な栄養が揃うとは限りません。そのことを示す、手作り食のレシピを調べた研究があります。
2017年に発表されたこの研究では、ポルトガル語で公開されていた犬猫のレシピ106件について、食材や分量をもとに栄養量を計算しました。犬向けとして評価したレシピでは、B2とB12のそれぞれで、約6割以上が栄養基準の推奨量に届いていませんでした。[4]
これは、レシピに含まれる栄養量を計算した結果で、実際に食べた犬の体調を調べたものではありません。それでも、食材の種類に加えて、それぞれをどのくらい使うかまで考える大切さがわかります。
手作りのよさを生かしながら、レシピ全体で不足する栄養を確かめ、必要に応じて栄養補助食品を組み合わせる。そんな食事の整え方もあります。
食材だけで揃えようとすると、食べる量やカロリーが増えすぎる場合には、必要な成分を補えるサプリメントが役立ちます。
「食べている」と「吸収できている」
食事に栄養が含まれていても、体がうまく吸収できないことがあります。ビタミンB12は、その一例です。
B12は、胃や膵臓の働きを経て、小腸から吸収されます。そのときに必要なのが、吸収を助ける「内因子」というたんぱく質です。
犬も猫も、この内因子をつくるうえで膵臓が重要な役割を担っています。腸や膵臓の病気によって吸収の仕組みがうまく働かなくなると、食事から摂っていても、B12が不足することがあります。[2]
下痢や体重減少が続くときは、食事の内容とともに、消化や吸収に関わる病気がないかを調べることも大切です。必要に応じて、血液中のB12の濃度を測り、不足がないかを確認する検査が行われます。数値だけで原因を判断するのではなく、症状やほかの検査結果と合わせて考えます。
B12が不足していたら、どう補うの?
B12が不足している犬には、注射のほか、口から補う方法も治療の選択肢になります。2024年には、慢性的な腸の病気があり、血液中のB12が少ない犬で、この2つの方法を比べた研究が発表されました。
試験を終えた犬のうち、毎日口からB12を補ったグループでは、補給開始から7週目と13週目の検査で、全頭の血液中の濃度が基準範囲の下限を上回りました。
13週目のB12の濃度を比べると、注射で補ったグループとの間に、統計上、明確な差は認められませんでした。口からの補給でも、血液中のB12の不足を改善できることが示された結果です。[5]
この研究には37頭が参加し、最後まで試験を終えたのは19頭でした。製品メーカーから資金提供を受けた小規模な試験であり、すべての犬で同じ結果になるとまでは言えません。
また、これは獣医師の管理のもとで、量と期間を決めて行った治療の研究です。日々の食事を補うときと、病気に伴う不足を治療するときでは、必要な量や方法が異なります。その子に合った補い方を、獣医師と相談して選ぶことが大切です。
うちのこのごはん、ここを振り返ってみよう
栄養の見直しや相談に役立つチェック欄です。
□ ごはんを残す日が増えている
いつから、どのくらい残しているか。おやつも含めて、実際に食べている量を見てみましょう。
□ 体重管理のため、食事量を減らしている
減らしたあとの量で、必要な栄養が摂れているか確認しましょう。
□ 手作りごはんの栄養計算をしたことがない
いつものレシピと分量、使っているサプリをまとめておくと、相談しやすくなります。
□ 下痢や嘔吐、体重減少が続いている
消化や吸収に関わる病気がないか、動物病院で相談しましょう。
□ サプリや栄養を補うおやつが増えている
配合されている成分と、一日に与える量を確認。同じ成分が重なっていないかも見てみましょう。
このチェック欄は、食事や体調を振り返るためのものです。必要な栄養は、食事の内容や体調をもとに考えます。
血液中のB12の濃度を測る検査は、一般的な健康診断の検査項目には含まれず、別に追加することがあります。下痢や体重減少などが続くときは、こうした検査が必要かどうかも獣医師に相談してみてください。
サプリメントも、ごはんを支える選択肢に
栄養を補うときは、何を、どのくらい、何のために足すのかがわかると、選びやすくなります。
選ぶときには、何がどのくらい含まれているか、どのように製造・管理されているか、与える量や使い方が明示されているかを確かめましょう。そのうえで、今の食事や体調に合うものを選びたいですね。
食事全体の組み立てやサプリメント選びに迷ったときは、獣医師と連携している、犬猫の栄養に詳しい専門家に相談することをおすすめします。
食べる楽しみを大切にしながら、体が必要とする栄養も届ける。
次のごはんを考えるとき、たんぱく質やカロリーの隣に、ビタミンB群のことも少し思い出してもらえたらうれしいです。
Knotでは、2026年10月17日から「アルマのおやつ」のビタミンしっかり配合クッキーのお取り扱いを始めました。毎日の食事を補う選択肢のひとつとして、ご紹介しています。
Knotの分子栄養学講座をご受講の皆様からは、栄養に関するご相談を随時受け付けております。
毎日のごはんやサプリメントについて、疑問や不安がありましたら、お気軽にご相談ください。
参考文献
[1]Institute of Medicine(1998)
Dietary Reference Intakes for Thiamin, Riboflavin, Niacin, Vitamin B6, Folate, Vitamin B12, Pantothenic Acid, Biotin, and Choline.
ビタミンB群の基本的な働きを参照。犬猫に与える量の根拠としては使用していません。
doi:10.17226/6015
[2]Siani G, et al.(2023)
Vitamin B12 in Cats: Nutrition, Metabolism, and Disease. Animals, 13(9), 1474.
猫のB12の働き・吸収と、病気との関係を整理した総説。
doi:10.3390/ani13091474
[3]Kritikos G, et al.(2017)
The Role of Thiamine and Effects of Deficiency in Dogs and Cats. Veterinary Sciences, 4(4), 59.
犬猫のB1の役割、不足したときの変化、加工・保存の影響を整理した総説。
doi:10.3390/vetsci4040059
[4]Pedrinelli V, Gomes MOS, Carciofi AC(2017)
Analysis of recipes of home-prepared diets for dogs and cats published in Portuguese. Journal of Nutritional Science, 6, e33.
公開されていた犬猫の手作り食レシピの栄養量を計算・評価した研究。
doi:10.1017/jns.2017.31
[5]Dor C, et al.(2024)
Efficacy and tolerance of oral versus parenteral cyanocobalamin supplement in hypocobalaminaemic dogs with chronic enteropathy: a controlled randomised open-label trial. Journal of Small Animal Practice, 65(5), 317–328.
慢性腸症があり血中B12が低い犬で、経口補給と注射を比較した試験。
doi:10.1111/jsap.13705

Knot STAFF BLOGについて
KOKO|Knot主宰
人と犬の食事と栄養を軸に、商品選びや専門家を迎えた講座の企画を行っています。自身も、チワプーの男の子と豆柴の女の子のママ。2頭との暮らしや日々の学びを交えながら、毎日のごはんに生かせる知識と工夫をご紹介しています。