わんちゃんの被毛の退色について
私がペットトリマーだった時に、飼い主様からいただくお悩みで多かったものは「毛の退色はどうにかならないか」でした。
残念ながら、わんちゃんの退色の原因は化学的にも解明されておらず、
「毛の退色をすぐになんとかしたい!」というお客様はわんちゃん用のカラーリング材で対応しておりましたが、
わんちゃんにとっても、多少時間のかかるカラーリングは負担がかかるもの・・・
私がトリマーの仕事を通して気づいたのが「健康な体があってこその美しさ」です。
例えば、タンパク質は臓器や筋肉、皮膚、被毛、爪、免疫など体を構築するのに欠かせない栄養素で、
様々なものに変換されるのですが、タンパク質は優先順位の高いものから使われていくので、
栄養状態が悪いと他の部位へ行き渡らなくなってしまいます。皮膚・被毛のコンディションは健康状態に大きく関わってきます。
毎日のバランスの取れた食事や適度な運動は人もわんちゃんも大切なこと。
今回は毎日の食事に取り入れやすい被毛に良いとされる食材をご紹介いたします♪
プラスαのケアで必要に応じてサプリメントを摂り入れたり、
サロンでエステメニューをチョイスしてみたりなども良いですね!
被毛の毛色の濃淡はメラニン色素の量で決まる
被毛の色素にはメラニン色素が関わっており、メラニンの合成には、アミノ酸のチロシンとフェニルアラニンが必要です。
メラニン細胞は皮膚・目・耳にしかなく、被毛・虹彩・鼻の色素にも関係しています。
黒褐色の色素である「ユーメラニン」 黄赤色の色素の「フェオメラニン」の
二つの色素の比率により被毛の色が決まってきます。
色素の量の変化は成長とともに変化していくもの。
パピーの頃と今現在を比べてみたら全然違う!なんてこともありますよね。
私たちもわんちゃんも加齢によってメラニン色素の減少によって白髪が出てきたりします。
どんな時に被毛の色が変わるの?
- 遺伝
- 季節(換毛のタイミングや紫外線・日焼けなど)
- 栄養状態
- ストレス
- 老化
- 病気によるもの
- ドライヤーによるダメージ
- バリカンによるダメージ
- シャンプーをしすぎる
などが考えられます。
皮膚・被毛の健康に摂り入れたい栄養素
特に春・秋の換毛期はこれらの栄養素をしっかり意識して摂りましょう♪
- タンパク質
臓器・筋肉・皮膚・被毛・爪・骨・血液など丈夫な体つくりに欠かせない栄養素。
タンパク質は摂りすぎた時、糖質・脂質のように体内に貯蔵ができず、余剰分は分解され、
尿素となったのち、尿とともに排出されます。摂りすぎると尿素を作る腎臓に負担がかかるので注意が必要です。
【肉・魚・卵・大豆・乳製品など】
- 脂質
タンパク質に次いで、犬の毛艶を保つために欠かせない栄養素。
脂質は細胞膜や血中の脂質のコントロール、体温を保持したりなどの役割があり、
脂質が不足すると皮膚が乾燥したり、血管が弱くなってしまいます。
【豚肉・油脂類・サバ・サンマ・ブリ・チーズなどの乳製品など】
- ビタミンA
皮膚・粘膜を保護して免疫機能を維持します。
【卵・レバー・ブロッコリー・水菜・ほうれん草・にんじん・モロヘイヤなど】
- ビタミンC
皮膚や骨・腱などの結合組織に必要なコラーゲンの合成や免疫力強化、抗酸化作用、解毒作用、血液中のコレステロールの低下などに作用します。
【ピーマン・ブロッコリー・かぼちゃ・ゴーヤ・じゃがいも・ほうれん草・水菜・キウイフルーツなど】
- ビタミンE
抗酸化作用があり、細胞膜の酸化を予防してくれることから「若返りのビタミン」と
呼ばれており、ビタミンCと一緒に摂ることでそれぞれが補い合うため、相乗効果が期待できます。
【ブロッコリー・カボチャ・小松菜・ほうれん草・植物系オイルなど】
- ビタミンB2
体内で脂質をエネルギーとして利用する際に必要な栄養素で、タンパク質や脂質、糖質の代謝に関係しており、健やかな皮膚や被毛、爪を作ります。
【納豆・レバー・ハツ・卵・チーズ・ぶり・干し椎茸・焼きのりなど】
- ビタミンB6
食品から摂ったタンパク質をアミノ酸に分解したり、アミノ酸を原料に皮膚・被毛・爪などを構築してくれる。
【かつお・マグロ・イワシ・さけ・ささみ・豚レバー・バナナなど】
- 亜鉛
タンパク質の合成や細胞の新陳代謝に関わり、200種以上の酵素の必須成分です。
皮膚・被毛・消化管の粘膜など新陳代謝の盛んな器官に作用します。鉛や水銀などの有害ミネラルの毒性を弱める働きもします。
【牡蠣・ホタテ・納豆・煮干し・牛肉・ラム肉・胡麻など】
- ビオチン
糖質・脂質・タンパク質の代謝に関わり、皮膚・被毛の健康を保つためにも重要な働きをします。
ビタミンA・ビタミンB2・6・ナイアシンと一緒に摂るのがおすすめ。
腸内細菌によっても合成が可能ですが、抗生物質などを服用している場合は合成量が減ってしまっているので、善玉菌を摂りましょう。
【レバー・卵黄・トマト・にんじん・きのこ類・あさりなど】
- 銅
貧血予防や骨の形成に関わる栄養素。他にもメラニン色素の合成やコラーゲンの合成にも関係しており、
銅が不足するとメラニン色素の合成がうまくいかなくなり、被毛が白くなったり、骨が脆くなってしまいます。
【牡蠣・ごま・あずき・卵・レバーなど】
- チロシン
チロシンは、フェニルアラニンと呼ばれるアミノ酸から体内で合成される非必須アミノ酸で、
食品から摂取することが可能です。アドレナリンやドーパミン、メラニンなどの神経伝達物質の材料となり、
チロシンを材料として合成されるメラニンは、髪や皮膚の色素を形成する働きがあります。
ビタミンB6と一緒に摂るのがおすすめです。
【パルメザンチーズ・ナチュラルチーズ・納豆・豆腐・バナナなど】
※こちらでご紹介した内容は一例でございます。健康効果を保証するものではございません。