【犬の栄養学】炭水化物について考えてみよう!
炭水化物ってなに?
炭水化物は糖質と食物繊維で構成された栄養素のことで、実は食物繊維も炭水化物の一部とされており、
炭水化物である糖質と食物繊維にはそれぞれ異なる役割があります。
糖質は最も効率の良いエネルギー源で、低血糖などの緊急時や消化力が低下してしまった時に大活躍します。
体内で「グルコース」に分解されるのですが、グルコースは生命において最も重要なエネルギー源で、
肝臓と筋肉に「グリコーゲン」として貯蔵され、必要に応じて再度グルコースに変換されて各組織へ送られていきます。
また、糖質はアミラーゼによって分解され、私たちヒトは唾液中に糖質分解酵素であるアミラーゼを含むので、
お米を食べて咀嚼するたびに甘く感じると思いますが、ワンちゃんは多く含みません。
糖質は、構成される糖の数によって単糖類・少糖類(オリゴ糖)・多糖類に分類されます。
単糖類:ブドウ糖や果糖などの糖質の基本単位。
少糖類(オリゴ糖):単糖が2~9結合のもの。
多糖類:デンプンやグリコーゲン・ヒアルロン酸・コンドロイチンなど、単糖が多数結合したもの。
腸の入り口に来る頃には多糖類になっており、糖質が吸収されるためには、
そのままでは腸での吸収ができないので、全て単糖類の形となってから吸収されます。
糖質自体は多すぎると脂肪となってしまいますが、血中に糖質が不足してくると、血糖値が下がり、
それを補うためにタンパク質(アミノ酸)や脂肪(グリセロール)を使い、
肝臓や一部腎臓でアミノ酸など糖質以外の物質からブドウ糖を作りだすことができ、血糖値を一定に保とうとします。
このことを「糖新生」と呼び、比較的わんちゃんは得意です。
【水溶性食物繊維】(ペクチン・アルギン酸・グルコマンナンなど)
海藻類や熟した果物に含まれており、水に溶けるとドロドロのゲル状に変化。
糖の吸収を緩やかにしたり、腸内細菌叢の改善やコレステロールの吸収を抑制してくれたりします。
【不溶性食物繊維】(セルロース・ヘミセルロース・キチンなど)
穀類や豆類に多く含まれ、水には溶けませんが、水を吸収して大きく膨らみます。
満腹感を得られたり、蠕動運動を活発にしてくれるので便秘の解消や、有害物質の吸着・排出などをしてくれます。
便の量が多いときは不溶性食物繊維が多い場合があり、多すぎてしまうと栄養の吸収が不十分になったり、便が緩くなったりすることがあります。
食物繊維には「発酵」する性質があり、食物繊維が発酵される過程で「短鎖脂肪酸」の酪酸、酢酸、プロピオン酸が産生されることにより、
腸内細菌叢のバランスを保ってくれるのですが、過剰発酵をすると、下痢やお腹にガスが溜まってしまいます。
ドッグフードには、安価なエネルギー源として小麦粉やじゃがいもなどを多く用いられがちですが、
フードの食物繊維源としては、おから、ふすま、ビートパルプ、セルロースなどがよく使われます。
※こちらでご紹介した内容は一例です。健康効果を保証するものではございません。